恋時雨~恋、ときどき、涙~
こんなに悲しくて虚しい朝を迎えたのは、生まれて初めてだった。


どんどん遠くなり小さくなる新幹線を見送りながら、わたしは泣き続けた。


静奈とは、もう、会えないかもしれない。


どうして、こんなことになってしまったのだろう。


出逢った頃は、まさか、こんなふうになるなんて思っていなかった。


冷たい涙が、頬を伝い落ちる。


どうせなら、このフェンスを飛び越えて、静奈を羽交い締めにしてでも引き止めれば良かった。


悲しくて苦しくて、どうしようもなかった。


わたしは、静奈との想い出を思い出していた。


「今日から、友達ね。私が、真央を守ってあげるから」


彼氏のような事を言う静奈が、わたしは大好きで仕方なかった。


高校の授業中、早口な先生がいた。


「先生! もっとゆっくりしゃべってよ! 真央が、理解できないじゃん」


怖くて有名だった先生に、静奈はわたしのために言ってくれた。


初めて会った日から、静奈はそういう女の子だった。


美人なのに気取っていなくて、天真爛漫で、みんなから人気があって。


真っ直ぐで、可憐な女の子だった。


わたしは静奈が大好きだった。


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