恋時雨~恋、ときどき、涙~

疑惑

どうして、わたしは白雪姫に生まれてこなかったのだろう。


小学1年生の頃、朝起きて一番に思うのは、そんなメルヘンチックなことだった。


わたしは、子供の頃、絵本を読むのが大好きだった。


だから、毎晩、ベッドのお供は絵本だった。


音は聴けないし、だから、テレビなんてつまらない物でしかなかった。


だから、いつもお父さんにおねだりをして、たくさんの絵本を買ってもらった。


数多い絵本の中でも、白雪姫が一等好きだった。


でも、毎晩読んでいるのに、いつまで経っても結末が分からなかった。


それは、毎晩、途中で眠ってしまうからだ。


きれいで、心の優しい白雪姫が森へ捨てられ、7人の小人に出逢い、そして、王子様に出逢う。


なんて素敵なんだろうと、幼いながらも胸を踊らせたものだ。


でも、毎晩、毎晩、わたしはある場面までくると、吸い込まれるように眠ってしまうのだ。


魔女に変装したお妃様の毒りんごを白雪姫が食べようとしている場面で、わたしは夢の世界へ吸い込まれた。


早く結末を知りたくて、ある日、わたしは最後の1ページから読もうとしたのだ。


しかし、お母さんは、それはずるいことだからやめなさい、とわたしに言った。



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