恋時雨~恋、ときどき、涙~
さらさらと粉砂糖のような細かい雪が舞うホームを、わたしたちはゆっくりと、でも、しっかりとした足取りであとにした。


今から、わたしの未来が始まる。


わたしは、一度だけ、振り向いた。


どこまでも続く線路を見つめた。


そうだよね。


お母さん。













アパートに戻ったとき、さっきまで降り続いていた粉雪はやみ、冬の優しい陽光が辺りを輝かせていた。


車から降りて、わたしは胸いっぱいに空気を吸い込んだ。


もう、後ろを振り返ってはいけない。


これからは、今からは、前を見つめて生きて行かなければいけないのだ。


この町に残ったということは、そういうことだ。


もう、甘えられるふたりはいない。


わたしなりに、精一杯の3年間を過ごし、胸を張ってふたりと再会できるように成長していなければいけない。


冬にしては珍しいくらいの抜けるような青空が、上空に広がっている。


アスファルトに積もった雪が、太陽の陽射しを浴びて光る。


健ちゃんが、わたしの頭を弾くように叩いた。



< 480 / 1,091 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop