恋時雨~恋、ときどき、涙~
そのやりとりを何度か繰り返した。


だんだん、笑えてきた。


可笑しくなって、わたしは玄関で吹き出した。


すると、今度は健ちゃんが自らドアを開けて、笑いながら入ってきた。


「ただいま」


にたにたしている。


〈何してるの? へんなの〉


わたしが笑うと、健ちゃんも笑った。


「最近、帰って来るのが楽しいんけ。インターホン押すと、必ず、真央がおかえりって出てくるんけ」


新婚みたいで、幸せだんけな、と健ちゃんは笑った。


〈おかえりなさい〉を何度も見てみたくて、何回もドアを閉めた、と健ちゃんは少し照れ臭そうに頭を掻いた。


「お?」


そして、鼻をくんくんさせた。


「今日、カレーライスだろ?」


〈当たり!〉


「やった。腹減ったんけ。早く食いたい」


お腹をさするジェスチャーをしながらリビングへ向かう健ちゃんを追い掛けて、その背中を叩いた。


「はいよ」


と健ちゃんが振り向いた。


手紙と写真をつき出して見せると、健ちゃんはぱあっと笑顔になった。



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