恋時雨~恋、ときどき、涙~
わたしの心臓がうさぎのように跳び跳ねた。


突然、ほっぺを健ちゃんの唇に奪われてしまった。


「やったな! さすが、真央の母ちゃんだんけ!」


そう言って、健ちゃんはわたしの体をひょいと抱き上げて、くるくる回り始めた。


まるで、メリーゴーランドに乗っている気分だった。


わたしは幸せだった。


泣きたいくらい、猛烈に幸せだった。


こんな幸せな日々が、3年続くんだと思っていた。


そして、3年後はもっと幸せな日々が待っているんだと、わたしは信じて疑わなかった。


こうやって、健ちゃんとの絆を固いものにしていこうと思っていた。


幸せにうつつを抜かして、あの人の存在を忘れていたのだ。


3年後には、お父さんとお母さんが戻ってくる。


3年後は、今よりもっと幸せな毎日が待っている。


希望に満ちた未来が、わたしの前に待っているはずだった。


けれど、違った。


わたしの目の前に見える輝いているはずの道は、いつも、突然ぱたりと途切れてしまうのだ。










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