恋時雨~恋、ときどき、涙~
そして、バッグからメモ帳とボールペンを取り出した。


【どうしよう
 そろそろ
 レパートリーがない】


メモ帳を見せて〈困った〉とジェスチャーして見せると、中島くんはうーんと考え始めた。


そして、しばらくしないうちに「あ」と口を開けて、わたしの肩を叩いた。


「真央、魚、さばけるよね?」


わたしは頷いた。


中島くんも頷いて微笑む。


「よし」


わたしは笑いながら首を傾げた。


【何?
 どうしたの?】


メモ帳を見せると、中島くんはわたしの背丈に合わせるようにかがんで、生き生きしながら話始めた。


「真央、まだ時間だいじょうぶ?」


わたしはスマホを見た。


午後2時45分を過ぎたところだった。


健ちゃんが帰って来るのは、18時ころだ。


時間ならまだたくさんある。


わたしが頷くと、中島くんはまた「よし」と言った。


「おれの家、ここから自転車ですぐなんだ。15分だけ、ここで待っていてくれる? いいもの、持ってきてやる」


【いいもの?】


「そう。最高のもの」


【なに?】


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