恋時雨~恋、ときどき、涙~
順也は相変わらず優しくて、相変わらずバスケットボールに夢中だ。


静奈とも仲良しだ。


順也と静奈の絆に、向かうところ敵なし。


そう思う。


わたしと健ちゃんは相変わらずぶつかったり、仲直りしたり、静奈や順也からは「忙しいふたりだ」と笑われている。


3月の終わりに、嬉しいことがあった。


果江さんの容態が安定し、体力も回復し、ついに渡米の予定が立った。


4月の半ばだと、先日お見舞いに行った時、果江さんが嬉しそうにわたしに教えてくれた。


「戻ったら、その足で、隆司のところへ行こうと思って。それで、気持ちを伝えようと思うの」


そう言って笑った果江さんの目は、とても澄んでいた。


亘さんも相変わらずの心配性を発揮しながら、元気だ。


この春に美容師専門学校を卒業し、仙台から汐莉さんが帰ってくることになったからかもしれない。


「参ったなあ。口うるさい女が増えるよ」


なんて悪態をつきながらも、亘さんの表情はゆるみっぱなしだ。


朝食を終えてキッチンで食器を洗っていると、肩を叩かれた。


振り向くと、仕事の作業着姿で健ちゃんが立っていた。



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