恋時雨~恋、ときどき、涙~
でも、わたしは素直に笑い返す事ができなかった。


同時に、このまま治らない方がいいかもしれない、なんてひどい事を思ってしまったのだ。


そんな自分を、嫌いだと思った。


歩けないかもしれない事を、わたしたちはまだ順也に言えずにいた。


でも、それがかえって順也を悩ませてしまうなんて、わたしには予測できていなかった。


そして、静奈がいちばん誰よりも傷付いてしまうことも。


いずれ、その事を順也と静奈が知ってしまう日が、着々と迫っていた。










お昼近くになった頃、病室に静奈がやってきた。


静奈は少し痩せて、また少しきれいになった。


「あ、しー」


静奈が来ると、順也の笑顔が1000倍、輝きを増して眩しくなる。


ふたりは誤解も解けて、すっかり元のふたりに戻っていた。


誤解というのは、3週間前の事だ。






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