イジワル王子とお姫様
放心状態の私の目に映ったのは…


はだけた、ナツキくんの胸元だった


…それと、肩


「すげー力…。破るか?普通…」


元々、身頃と袖の間は少し空いていて、細い糸で留めてある浴衣だったんだ


そりゃ、力は入れたけど…でも、まさか破れちゃうとは


放心状態の次に、顔面蒼白になった私の頭をナツキくんが大きな手のひらで優しく撫でる


「…女将さんに勘ぐられるかな~。…まいっか。ちょうど丈短めだったし、謝って替えてもらお」


「ぐすっ…ごめん。ナツキくん。私のせいで…」


「いいよ別に。…オレは桃香の王子様なんだろ?この位、どうって事ない」


…え?


ナツキくん


今、何て言ったの…?




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