イジワル王子とお姫様
約束の事なんか全く思い出せない。ナツキくんが何でここにいるかも分かんないよ


「…覚えてねぇんだ。そーいや、何か帰りボーッとしてたもんな。調子悪いん?」


ナツキくんが、私のおでこに手のひらをあてがおうとする


嫌っ、今その手で触れられたら…私、失神するから


ナツキくんと同じ空間にいるってだけで、こんなにドキドキるのに


私はナツキくんから逃れるように、急いで顔を横に向けた


「昨日ぉ~、銃士とあんたの友達と帰りに話したじゃん。今日みんなで一緒にランニングするって」


ら…ランニングゥ!?


ナツキくんは、ニヤッと笑うと思いっきり私から布団を引っ剥がした


「い…いやあぁ~っ!」


近所に聞こえるような私の声が、辺りに響き渡った
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