冬の華
家には帰りたくないという彼女を
俺の部屋へ連れてきた。

《死霊だな…》

やっぱそうか…。

黄泉の使い魔も、
彼女の目には猫に映る。

可愛いを連発して、
それを膝に乗せ、
撫でまくってる。

ワンダのヤツも気持ち良さそうに喉まで鳴らしてるし…。

《嫉妬は醜いぞ?》

頭ん中勝手に覗くなっての。

「あのさ、取敢ず家帰った方が…

最後まで聞かずに、

「ヤだ、怖い」

泣き出す。

《泣かせるな。耳障りだ》

勝手なこと言ってんなよ。

「家の人心配するだろ?」

首を派手に振って抵抗する。


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