JACK IN THE BOX
「全部がそうとは言わないけどさ。人が痛がってたりするのを笑う番組、あるだろ?」

ああ、いわゆる罰ゲーム的なバラエティー番組ね。

「あれが、嫌でさ。笑い声聞いてるだけでムカムカしてくる。笑えねぇよ、みたいな」

お、大人しい彼にしては珍しい荒い発言。

「その番組が楽しいと思う人も居るわけだから、これはあくまで僕一人の意見でしか無い訳だけど。どうして人の痛みを笑えるのか分からない」

野菜炒めを皿に盛る。

「それでお金もらってるから?台本通りだから?だから人の痛みを笑っても良い訳?」

熱々の味噌汁をお椀につぐ。

「僕が単に神経質なのかも知れないけれど。……嫌なんだ、誰かが痛い思いするの」

それがブラウン管の向こうで作られた物だとしても。

そう言って彼は俺を振り返り、肩を竦めて笑った。

「だから、テレビは苦手なんだ」




人が痛い思いをするのが嫌だ。それが作られた物だとしても。

彼が痛みに敏感なのは、看護師として人の痛みに毎日接しているからか、それとも。

『いつから、人間は他人の痛みを笑うようになっちゃったのかな』

独り言だよ。彼は笑顔でそう呟いた。



食後に出してくれたカフェオレの味が、やけに優しく感じた。




《独り言 end》


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