JACK IN THE BOX
「そっちに行ったぞ!」

「逃がすな!」

数人の男が怒鳴りながら何かを追っている。

「いたぞ! 捕まえろ!」

追われているのは幼い少年。彼は息を切らしながら、入り組んだ廊下を縫うように走り抜ける。

今日こそ、逃げ出してやる。

決意に似た願いを胸に非常口へ向かった彼の目の前が突然、顔面に受けた衝撃と共に暗くなった。

反動でよろめき、二、三歩後ずさる。

「逃がさないぞ」

怒りが篭ったその声に青ざめた少年は、素早く身を翻し来た道を戻ろうとした。

瞬間、後頭部に痛み。銃身で殴られた少年は小さく呻き、冷たい廊下に倒れた。

「このクソガキ」

兵は自分の手の平より小さな頬を拳で殴る。

「捕まえたか」

「はい、博士」

博士と呼ばれた白衣姿の男性は少年の細い腕をぐいと掴んだ。

「逃げ出すなとあれほど警告しただろう?」

殴られた頬をさらに叩かれ、人間離れした姿の少年は黄緑色の瞳で博士を睨みつける。

「最近ずいぶん反抗的になってきたな。そんな“道具”に育てた覚えはないんだが」

博士はじたばたと暴れる八歳の少年を兵に引き渡し、厳しい声で言った。

「今日は実験は止めだ。『自分は“道具”なのだ』と言う事をしっかり教えておけ」

「はっ」


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