JACK IN THE BOX
不気味な静けさが漂う“部屋”。
再び監禁された少年は床に倒れていた。体を動かす度響く痛みに、小さく呻く。
逃げ出した鉄格子の中に連れ戻され、細い手足に頑丈で重たい鉄の枷を嵌められた。昨日までは縄だったのに。
透き通るような白い肌には新しいみみず腫れ。赤く腫れ上がった打ち傷はじっとしていてもヒリヒリと痛む。
脱走に失敗する度、罰として鞭で打たれる。数日間食事と水を抜かれ、空腹と激しい喉の渇きに衰弱し動けなくなる。
『化け物め』
『お前は実験の道具』
少年に対する同情など、ここには存在しない。幼い子に向けられる優しい微笑みなどカケラも無い。
そんな、壊れた世界に少年は閉じ込められている。
陽が落ちたのだろう、部屋の空気が冷えはじめてきた。
寒さに耐え切れず、少年は痛みを堪えて立ち上がりもぞもぞと毛布の中に入り込む。
手足を繋いでいる長い鎖が、寝返りを打つ度にジャラ、と嫌な音を立てた。
この世界は、冷たい。痛いくらい冷たい。
少年は静かに涙を流す。
故郷に、帰りたい。温かくて綺麗な湖の国。
そして、愛されたい。
だれかに抱きしめられたい。
優しい声が聞きたい。
僕を“物”じゃなく“人”として見てほしい。
そう願う僕が壊れているのか
それとも世界が壊れているのか
……それは、僕には分からないけれど。