JACK IN THE BOX
シアンは自分のターバンを外し、少年に手渡した。

「これで額の傷は隠せるかな」

少年は驚いて目を見開く。シアンの額の右側に酷い傷痕があったからだ。

「着けてごらん」

言われたとおりに額に着ける。微かに残っている“パパ”の温もり。

「傷をからかったサンも悪いけれど、仕返しするのも良くない事だね」

諭すように言い、シアンはもう一度少年を腕に抱いた。

「傷があっても名前がなくても、君は大事な“家族”なんだよ。だから、からかわれても仕返ししないで堂々としていなさい」

優しい口調と温かい手。少年はシアンにしがみついて泣いた。

「ごめんなさい」

言葉が、素直に口をついて出てくる。

「ごめ、なさい……」

シアンは見えない目を少年に向けて言った。

「ちゃんとサンに謝れるかい?」

うん、と少年は頷く。

「じゃ、謝っておいで」

「お仕置きは、いいの?」

怖ず怖ずと尋ねる少年にシアンは微笑んだ。

「仲直りしに行ってきなさい」

はい、と返事をして部屋を出ようとした少年を、シアンは何か思いついたように呼び止めた。

「そのまま、“ママ”の所へ行ってごらん。きっと、素敵な名前をくれるから」


 
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