JACK IN THE BOX

Mr.Flower[ミニストーリー]

Mr.Flower。
彼は不思議な子だった。


廊下ですれ違った青い瞳の彼は涙を溜めた目で笑い、ぺこりと頭を下げて俺に挨拶した。

礼儀正しくて真面目そうな子。なぜ涙目だったのか気になり彼の背を見つめていると、女性職員に声をかけられた。

「あらこんにちは、ラルフ。仕事でここへ?」

「ああジェシカ。今日は院長に呼ばれて」

俺は彼女に答えてからまた彼の姿を追った。中庭に続くドアを開き、外に出て行く様子。

「あの子がどうかした?」

「いや、泣いてたからつい」

「あら」

またやらかしたのね、Mr.Flower。

そう呟いてジェシカは溜息をつき、廊下の壁にもたれた。

「あの子、大人しくて礼儀正しくていい子なんだけどね。ちょっと問題児なのよ」

「全然そう見えないけど?」

「基本はいい子だからよ。ただ、真面目過ぎると言うか……」

彼女の隣に並び、俺は話の続きを促した。

「空気が読めないのよ。怖いもの知らずと言うか。答えられない……ううん、答えづらい質問ばかりするの」

「どうして空は青いのかとか?」

そうならいいんだけど、とジェシカは再び溜息をつく。

「軍隊あがりの愛国心ばりばりの老先生に、あの子なんて聞いたと思う?」

「さあ」

「『花壇の花も野原の花も同じ“花”です。エルゼの人もクルシアの人も同じ“人間”です。なのにどうして僕たちの国が一番偉いのですか』、って」

「子どもは素直だな」

「そういう問題じゃないのよ」

ジェシカは俺を睨んだ。

「子どもだからって言い訳が通用する政情じゃないのはあなたも分かってるでしょう」

「まあな」

「頭が悪いわけじゃないと思うのだけど、そういう質問ばかりするから職員もお手上げなのよ。素直過ぎるのもある意味問題だわ」

三つ目の溜息をつき、ジェシカは続ける。


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