終局の狭間で、キミと。
――――――――――夢をみた。



あの日のこと。

私はいつものように学校で授業を受けていた。

周りの世界も、いつもどおり変わらなかった。




「……えー、では問十二の設問二を誰か黒板の前に来て解いっ……!?」

「きゃあああああっ!!」


突然の縦揺れ。

花瓶やテレビが大きな音をたてて落ちる。

みんなの悲鳴が聞こえた。


縦揺れが少し収まったかと思ったら、今度は横揺れが私たちを襲った。

みんな、避難訓練には落ち着いて行動しろ、と嫌という程教えられていたのにパニックを起こしている。

放心状態の私は、みんなが獣のように泣き叫ぶのをただ傍観していた。



揺れが収まった。


まだすすり泣く声があちこちから聞こえる。


教室の壁が所々崩れていた。



頼りにできるはずの先生は、真っ先に逃げてしまった。

残された私たち。


「ちょ……大丈夫!?」


いきなり、つんざく様な声が聞こえた。


ゆっくり声のする方へ目をやると、数人の生徒が輪をつくっていた。


輪の中には、女の子がひとり倒れている。



「柚子!!ねぇ、大丈夫!?目開けてよ!!!」

輪を構成している生徒のひとりが叫びながら倒れてる女の子を揺さぶっている。


柚子?

柚子がどうしたの?


ふらつく足で輪のもとへ近づくと、倒れている女の子の顔が見えた。

白いブラウスが赤く染まっている。

体中から血が出てる。


知ってる顔。

誰。



「…………柚子ッ!?」

倒れているのはまぎれもない、私の知ってるあの柚子だった。


体中から血が……

赤い……どうして?



「い……いやあああああああああああっ!!!!」

私は無意識のうちに叫んでうずくまった。






朝だ。


しっかり閉めたはずのカーテンから、朝の光が差し込んでいる。


また、一日が始まってしまう。
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