終局の狭間で、キミと。
「…………ごめん」

 ダイニングテーブルに向かい合わせの馨がフォークをくわえながら呟いた。

馨の特製目玉焼きはゴミ箱に捨てて、しかたなく私が朝ごはんを作った。


「いいわよ、別に。馨にあまり期待はしてなかったからさ」
「…………ヒドい」
「言われたくなかったら卵焼きくらいちゃんと作りなさい」
「……うん」

 テレビをつけても、娯楽番組はもうなくなってしまっているからつまらない。



「今日、どこに行くの?」

昨日、馨が言っていた事を思い出して問う。

「…………秘密、で」

 馨の、フォークの下の口が、すこし上がっているように見えた。

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