季節越し咲く桜花



「………。」

「……ねぇ、君…って、ちょっと!?」


彼女は一通りかけ終えると傷口をじっと見つめだす。とりあえず声をかけようと口を開いたら、そのまま立ち上がりまた公園の外へ向かった。

「今度こそ見捨てられた?」と、彼女の背中を目で追う。すると、公園の入口に居た若い男を連れてすぐに戻ってきた。


「な、何だよ…?」

「…あー…これまた、派手にすっ転んだな?嬢ちゃん、これ濡らしてきてくれ。」

「…はい。」


男は俺をまじまじと見て、さっきまで彼女が居たところにしゃがみ、俺の質問を無視して救急箱を漁る。
彼女は、男に渡されたハンドタオルを持って水道まで歩いていく。


「…なー、おっさん?」

「ぉ、おっさん?!
…あのなー、俺はまだ高校生なんだ。おっさん扱いすんなよな?」


俺が再度話しかけると、男は呼称が気に食わなかったらしく、若干口元をひきつらせながら俺の頭を力強く掴む。


「いって?!何すんだよ、おっさん!」

「るせぇ!優しい優しいお兄さんにお前は感謝の言葉の一つも言えないのか?!」

「どこが優しいんだよ!痛ぇから、離せ!!」

「…濡らしてきました。」


俺達が口喧嘩(?)をしていると、彼女は濡れたハンドタオルを持って戻ってきた。


                   .
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

紅の薔薇の花言葉
神無。/著

総文字数/269

恋愛(その他)2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
学校帰りに起きた交通事故 突然やって来た二週間の入院生活 そんな時、中庭に居る貴方を見た 貴方は患者と、とても楽しそうに歩いていた それだけ ただ、それだけなのに 初めて 女性の笑顔をとても美しいと感じた その笑顔を僕にだけ向けて欲しいと思った …そう思ったら即行動!! 「ねぇね、看護婦さん?」 「ぁ…貴方、今どこから飛び降りたの…?」 「二階からだけど?それよりさ―― 「今すぐ病室に戻りなさい!!」 有栖川健太の熱烈アタックが今、始まる!! やっぱり…年下で、しかも背が低い男は対象外なのかな…? 駄作ですが読んで頂けたら嬉しいです

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop