深淵
 着いたのは木々に囲まれた休憩所だった。                            

 闇にまぎれて二人の異常者は小刻みに体を揺らして、「はっ、はっ」と吐息を漏らしていた。                             

 こいつらイカれている。                        

 キョウスケの目に映り込んだのは、休憩所の柱に縛りつけられ、二人に弄ばれている制服を着た少女の姿。                       

 そしてその目の前には、その少女の恋人らしき少年が同じように柱に縛りつけられ、猿轡をされていた。                        

 顔の至る所から血を大量に流し、「うーん!うーん!」と何かを叫んでいた。                        
 助けようとしているだ。                        
 少年の目は痛々しく腫れ上がっていたが、眼光は異様に鋭かった。
< 41 / 175 >

この作品をシェア

pagetop