深淵
「宴の準備だよ、宴の」                         

 小柄の男はそう言ってキョウスケに手招きをした。                        
 大柄の男は足早に小柄の男が進む方向の暗闇に消えていった。                               

 ゆっくりと二人の後ろについていく中、キョウスケの鼓動は異常にその激しさを増していた。                                         
 キョウスケの口は自然に吊り上がっていった。                          

 いいねぇ・・こいつら狂ってるよ。                               

「こっちこっちー」                           
 小柄の男は体を妙に揺らしながら手招きしていた。
< 40 / 175 >

この作品をシェア

pagetop