聖夜の約束
「おはよう 松下さん」


給湯室でコーヒーを入れていると背後から声をかけられた。



「長谷川さんっ!おはようございます」


振り向いて長谷川を見て驚きつつ頭を下げた。


「もう熱はないの?」


長谷川の手が伸びて驚く事に夏姫の額に触れた。


「だ、大丈夫ですっ!」



(どうしてこんなに親しげに振舞うの?)



ほとんど話をした事がないのにこの親しげな様子はおかしい。



「ほんとだ、もうなさそうだね」


長谷川は優しく微笑んだ。



「松下さん、明日の夜食事でもどうかな?」


「あ、あたしとですか?」


突然誘われて開いた口が塞がらない。


「だめかな?」


「い、いいえ そんなことないです」


「じゃあ、決まりだね 明日食事に行こう 時間は明日連絡するよ」


そう言って給湯室を出て行った。


(あたしが長谷川さんと・・・?食事?)


憧れの人と食事。


夏姫は夢でも見ている気分だった。




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