たいよう
プロローグ

空紘side

「たかー」



自分の名前を呼ばれて、ゆっくりと振り返った。予想通り、俺を呼び止めた男は全身校則違反の男、舜だった。




「何だよ」



せっかく早く帰ろうと思ったのに。早く学校からでれば、会わなくてもすむから。



「んだよ、不機嫌な顔しやがって」



「にやにや笑ってる舜とは違うんだよ」



「にやにやしてねぇよ!」



「どーせ女絡みだろ、俺関係ないじゃん」



舜が顔をにやにやさせて近寄って来るときは大抵女絡みだ。
いや、確実に。



「察しいーじゃねーか、たか。ところでそんな空紘くんにお願いが」




「いかねーよ、俺は」




だいたい舜が『空紘』と呼ぶときは危険だ。なんとなく過去の経験から舜の頼みごとを読み取った俺は、舜の言葉を遮って断った。




「最後まで言わせてくれてもいーじゃんか!!」




「どーせ合コンだろ」



女タラシのコイツは毎日のように合コンに行っていて…上は大学生から下は一個下の高1まで…だいたい同い年の時に俺は誘われる。



「よく分かってんじゃん」



「いかねーよ、俺は。ケバい女達と絡みたくねーんだよ」





< 1 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop