ガラスの靴
風の強い秋の日
私は1人大学の図書館にいた。



そういえば この半年
1人で休み時間を
過ごしたことがなかった。



楓と一緒に
過ごしたかったから
私の嫌いな科目だったとしても
彼女と同じ授業をとって
常に彼女の隣にいた。



どんなに嫌いな授業でも
どんなに先生が嫌いでも
私は1人に
なりたくなかったから、
彼女の隣にいた。



1人になるからって
決して『独り』では
ないのに…。



どうして 私は
そんな単純なことにさえ
気づかなかったんだろう。



いや…



本当は気づいていた。



でも、怖かったんだ。



1人になることが…。



変わろう…変わるしかない。
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