ブラッディ アリス
コンコン…。
「どうぞ」
アリスが小さくノックをすると、扉の向こうから待っていたとでもいうような声色で、シャリオ司教が答えた。
「失礼いたします」
アリスはそっと扉を開ける。
客間にいたのは司教ただ一人。
普段なら司祭が数名いるはずなのに…。
「大丈夫。警戒しなくても、私しかいませんよ」
シャリオ司教がにっこりと笑って椅子から立ち上がる。
「執事の方も、どうぞお入りください」
鋭い目をして立っていたラビを見て、司教は優しく言葉をかけた。
「…お心遣い感謝いたしますわ。シャリオ司教」
そう言うと、静かに椅子に腰掛けたアリス。
その横にピッタリと張り付くラビは、司教を睨み続けている。
「誰もいない方が…お互い話しやすいでしょう」
シャリオ司教は笑顔を崩さず、椅子に座りなおす。
「…今回の件…司教は全て存じていらっしゃるようね」
アリスはニヤリと笑って足を組み、頬杖をついた。