ブラッディ アリス



「ありがとうございますわ。…お言葉に甘えて…今夜は席を外しますわね…」
メイクを直してもらい、落ち着いた様子のアリスは、イザベラに深く礼をする。

「気にしないで。…行ってらっしゃい」
イザベラは個室を出たアリスを見送ると、アミを連れて会場に戻って行った。



「…はぁ…」

エレベーターに乗り込むと、アリスは大きくため息をついた。

「ルナリア様に何を言われた?アリス」
ラビはアリスの両肩に手を置くと、心配そうにアリスを見つめる。

「…伯母様の言ったとおりよ…。母様を…思い出しちゃったの…」
アリスはそんなラビの手にそっと触れ、優しく微笑む。

「…本当に…?」
ラビは疑うように問うと、アリスの頬に触れた。

「ホント…よ。まさか自分が泣くとは思わなかったけどね」
そう言いながら、アリスはまどろむような目でゆっくりとラビに抱きつく。

自分を抱きしめる愛しい少女の頭を撫でながら、ラビは穏やかに笑う。




「リナリア様のことを想っただけで、あんなに怯えるかな?」









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