ブラッディ アリス
Ⅵ
しばらくの間…アリスとラビは体を絡ませた。
アリスがクスクスと笑いながら、ラビの耳元でヒソヒソと囁く。
「白雪姫の好物…それは…真っ赤なりんご…」
「じゃ、買ってくるよ」
身だしなみを整えると、すぐさまラビは部屋を出た。
アリスはラビに、自分の計画を告げたのだ。
乱れた髪と服装を正すと、アリスも部屋を出て一階に下りた。
キオネとカイルの笑い声がだんだん大きくなる…。
「あら、アリス。大丈夫…ですの?」
「え?なにが?」
「カイルの話では、執事が怒っていらっしゃるみたいでしたので…」
「……大したことないわ」
仮にも王子だというカイルを、もう呼び捨てにしているキオネが、なんだか気に食わないアリス。
わざとカイルの横に座ってみせる。
「すごく仲良くなったみたいじゃない?」
アリスは頬杖をついて二人を見た。
「カイルってすごく面白い方ですのよ。それにすごく頭がよろしいの。…ふふ」
嬉しそうに話すキオネに、アリスは冷たく言う。
「知ってるわ。そんなの」
「…あ……そうですわ…よね…」
キオネは少し驚いたように目を丸くしていた。