ブラッディ アリス


ジャックが不適な笑みを浮かべたのを確認したアリス…。


「…わ……私…ジャックさんがいい…!」


それが、アリスの口から、とっさに出てきた言葉だった。


「え…?」

全員の視線がアリスに集中する。


「…アンジェラ…?」

驚いた様子のカイルが、チラッとラビの反応を伺う。


「……アンジェラ…どうして…」

少し寂しそうなラビが、アリスを見つめる…。



「……さっきザリチェに聞いたの。…ジャックさん、とっても良い人って。…だから…お話…してみたくて…」

とっさの嘘を、まるで本当のように、少し照れたような…恥ずかしそうな…少女の演技。

少し無理やりな、そこがまた…特別な意味を持つような雰囲気で…アリスは切ない表情を見せた。



「……んー…じゃあ、チェンジしましょうか。リーク」

ジャックは半分呆れた感じを見せたが、それでも嬉しそうに笑った。


「…仕方ないですね…。次はぜひ…私を指名してくださいね。アンジェラ」

ラビは作り笑いでその場をしのぐと、二階にいるカナリィを手招きで誘った。




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