ブラッディ アリス


しばらくの間、ラビは黙ったまま…アリスの瞳の奥をじっと見つめていた。


コチコチと古い時計の針の音が響く室内…。

聞こえるか聞こえないかというほどの小さなため息をつくラビ…。


「……『特別授業』は、今日だよ…」


「…えっ?!」


ラビの一言に、視界に入る時計を確認するアリス。


時刻はすでに、11時近い。


「何時から?」

アリスの目つきが変わる。


「…午後…2時から…。ロビンの言ってたとおり、寮舎シフォンの二部屋分の子ども達が、本館フロマージュへと向かう…」

ラビはアリスの上体を抱き上げ、耳元で囁く。

「…僕は寮舎ミルフィーユの監視役。ミルフィーユの子ども達も全員、正午から…外出禁止になるから」

「………わかったわ…。……正午までに、フロマージュへ入ればいいのね」


アリスはラビから体を離し、頷いた。




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