ブラッディ アリス
「…アリス……、…カナリィは、君が思っているような子ではない…。…ロビンが優遇されている理由……それは……」
ラビがそう言いかけると、アリスはもう一度頷いた。
「……元貴族の息子だと、ラミアは知っているのね。…まぁ…ジャックが調べたんだろうけど…。……カナリィのことは、かばっているわけでは無いわ。余計な仕事を増やしたくないだけ」
アリスは立ち上がると、ラビに笑顔を見せクスクスと笑う。
「…遺産相続権…全て弟君にあるのかしら?……なら、お姉様は焦っていらっしゃるのかもしれないわね」
お菓子の家に子ども達を招き入れる魔女。
消えていく子ども達。
鏡の存在に導かれてやってきた兄妹。
貴族の子どもに取り囲まれた元令嬢と…この施設の真相を見た元貴族の息子。
そして、全ての物語に絡んでいく…一人の男…。
少女の頭の中に、数々のシナリオが浮かぶ。
「…退屈しないわ……あなたがいる限り…」