ブラッディ アリス
ⅩⅧ
「…ロビン……どこに行ったのかしら……?」
書斎に戻ったアリスだったが、そこにロビンの姿は無かった。
とりあえず、ラビの話が本当ならば、タイムリミットはあと1時間…。
真相を暴くためには、正午までに移動し、本館フロマージュに入らないといけない。
「時間がないわ」
アリスはザリチェに借りた懐中時計を見る。
そして書斎を飛び出し、急いで来た道を戻る。
「……あっ…!」
寮舎ミルフィーユに近い分かれ道で、アリスは訓練から戻ってきた六人と鉢合わせをした。
「あれ?アンジェラ…。一人?どっか行ってたの?」
六人の中で唯一アリスの正体を知らないクレスタは、きょとんとした様子でアリスに尋ねる。
「ちょ…ちょっと…探検しに…」
息を切らしながら答えるアリスを見て、カイルは心配そうに近づく。
「何かあった?」
「や……何も…。大丈夫よ。…お兄ちゃん…」
アリスはカイルの服をぎゅっと掴むと、にっこりと笑顔を見せた。