ブラッディ アリス
それからアリスは二人に、シャルル夫人の言っていたこと全てを打ち明けた。
「娘に嫉妬する母か…よくある話だね…」
カイルは何かを思いながら呟く。
「そんなのどうでもいいのよ。私が今一番気になるのは…」
「『文書がきてない』ってことだろ?」
ラビが核心をつくように言った。
「そう…この国の貴族界代表の私に…なにもこないはずないんだけど…」
「あぁ!それ思ったよ。だからアリスが今回のこと知らないのは正直疑った」
笑うカイルを醒めた目で見るアリス。
「とりあえず、来週の集会で…」
アリスがそう言いかけると、首からぶら下げていたケータイが震えた。
「ミカエルから電話だわ……。なに?」
アリスは少しイライラしながら電話をとる。
「ミカエル…。たしか、レオ国の代表だっけ?」
ニヤニヤしながらラビに尋ねるカイル。
「そうだよ…。あの戦争好きクランベリ家の長男…」
ラビはにっこりと笑いながら答えた。
「知らないわよ。こっちにも文書はきてないわ。とりあえず私は明日の処刑に行くけど…。え?…来なくていいって伝えといてくれないかしら?…うん…わかったわ…じゃ、来週ね」
アリスは電話を強引に切ると、大きなため息をついた。