ブラッディ アリス
「…一度で十分です…。…彼らの想いは、ずっと聞こえていました…」
広がっていく炎をチラチラと確認しながら、アリスはため息をつく。
「…はぁ…。……あなた、私に従う気なんて無いでしょう?……台座を押しながら、外に戻ることなんて…もう無理だもの…」
アリスは呆れた顔で、鏡の装飾部分を軽く叩いた。
「……申し訳…ございません……」
「………まぁ…いいわ…。…昔…一緒に遊んでくれて、感謝してる。…キオネには悪いけど、楽しかったわ。……あなたの能力、すごく魅力的だったのに…残念だけど…」
アリスは体を鏡へと向ける。
「………アリス様……」
悲しげなオロバス…。
アリスの瞳には、すごい勢いで邸を燃やしていく炎が映る。
「…無理矢理…堕ちていくのは……お止めくださ…」
「そろそろ出ないと、私まで焼かれてしまうわね…」
オロバスの言葉をわざと遮るように、アリスは笑って言い放った。