ブラッディ アリス
「……え…?」
ラビの行動に目を丸くするノーカとクレスタ。
「…何があったのかは知らないけど…元々は本当にただの子どもだったみたいね。……突然…強大な力を持った組織の仲間になって、はしゃぐ気持ちはわからなくもないわ…。…でも……私を遊び相手にするには、まだ少し早いみたい……」
アリスはゆっくりと拳銃をしまい、まっすぐに二人を見つめた。
ラビは何も言わず、強引にハンカチをノーカに渡す。
「……なんなの…?…」
ノーカは悔しそうにハンカチをぎゅっと握り、唇をかみ締めた。
「…面白がって…こんなとこに来てるようなあんたたち貴族に…そんなこと言われたくないっ……」
すでに進路を正門へ向けたアリスは、歩きながらノーカを睨む。
「…その言葉……あなたたちの飼い主に言ったらどう?」
満点の星空の下…少女は冷たく微笑む。
時計仕掛けの世の中を、狂わせている瞳に、観られていることを知りながら。
「…行くわよ。ラビ」
…舞台は未だ序章…。
「…あと二つ…」
大罪を背負わされた、罪無き純粋無垢な乙女に、罰を。