ブラッディ アリス
「このアベル家を含め、『神家』と呼ばれる貴族界の歴史的な家名…言えるわよね?」
リナリアはそう尋ねながら、隣の部屋へ続く扉近くに備えられた白い木造の棚へ向かう。
「……アダム家…イヴ家……アベル家…セト家……マリア家…」
リナリアの質問にすぐ答えるアリス。
「……それで全部かしら……?」
アリスに背を向けたまま、暗い声で問いかけるリナリア。
「……き…貴族界を追放された……リリス家…と……」
アリスはゴクンと唾を飲み、ゆっくりと言葉を放つ。
「……同じく貴族界を追放された……」
……ドクン…ドクン……
「………カイン家………」