ブラッディ アリス




……ドクンッ……



「……私に託してくれてたんだ……ザリチェは…」


ドクンドクンと大きく音を立てる…アリスの心臓。



リリス邸…『過去の間』の、天井に逆さまに立てられた無数の蝋燭の火が不気味にゆらぐ。



「ザリチェの手紙には……『リーク』という執事から懐中時計を取り戻したと書いていました。…その後に届いた…最後の手紙には…『アリス嬢に渡した』って…」

アマリリスは困惑した様子を見せる。


「…その『リーク』は、ラビの使っていた偽名よ。ラミア…リトルメラ侯爵の執事として、あの施設に潜入していたの…」


「じゃあ、ザリチェは取り返したのに、また取られちゃったってこと…?アリスちゃんの執事は、もともと懐中時計を二つ持ってたってこと?ドクター・ラマツの仲間ってこと?!…」

サクラランが恐ろしいほどに瞳を大きく見開き、アリスに問い詰める。



「…そ……それは…」




…アリスの頭の片隅で…ずっと疑問に思っていること…。


『兎は…敵か…それとも味方か…』



「……や…違う…!……関係…ないっ…」





…ワタシ…ハ…


…タダ…




…リヨウ…シテイル…ダケ…




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