ブラッディ アリス
真っ赤なソファーに堂々と座るコキアと、向かい合って座るリナリアが頭を抱える…。
リナリアが怒りのあまり振り落としたグラスを、黙って拾い集めるアマリリスの姿。
周りを取り囲む、コキア専属の執事たち…。
「……お前が死ぬのは…私のせいか…?…リナ…」
「違うわ。アベル家に嫁ぐと決めたときから、この身を犠牲にする覚悟はできてる…。…でも…私が終わらせないと意味がない…。あの子たちを犠牲にしてはいけないのに…っ」
悔しそうな表情を見せるリナリアの前に、サクラランが新たなグラスに真っ赤なベリージュースを注いだ。
「…万が一のときのために…アリスには厳しい教養と訓練を強いてきたはずだろう?……それなのに…」
「あくまで万が一よ!…ただの備えであって…。……すべてが終わったら、真実を話して…あの子には自由に生きてもらうつもりだった…。…酷いことをしてきた私は嫌われてもいいから!…なのに…」
「……私のせいにするな…。……『七つの大罪』が関わる可能性は考えていたはずだ…」
コキアは立ち上がり、大きな窓へと歩き出す。
窓の外には広いバルコニーがあり、そこから見える海の先には、うっすらとサジタリウス国が浮かんでいる…。
二年前…リリス邸はまだ、オフィユクス城に移ってはいなかった。