ブラッディ アリス






「お目覚めですか?アリス様」




気づけば隣には、少女の顔を覗き込む兎がいた。





「…あっ!……私…寝て…!」

アリスは慌てて起き上がると、左側に何か違和感を感じ、とっさに左腕を確認した。

「……血が…無い…」

先ほどまで真っ赤に染まっていた包帯が、綺麗な状態に戻っている。

「…あれ…?……え?」

そして、身に何も纏っていない自分に気がつく…。


「…腕は麻酔をかけ、縫合いたしました。…しばらくは何もせず、ゆっくりお休みになられてください。…下手に何かすると、傷跡が残ってしまいますから。…それと…血のついた下着は洗わせていただきましたよ。お部屋のシーツ等も洗いました…」

ラビは淡々と状況を説明し、アリスの体を強引に寝かせた後、ゆっくりとブランケットをかけた。

「…下着だけでも…と思ったのですが……衣裳部屋に入るのは、許可をいただいてから…と思いまして…」

アリスが質問するまでもなく、全て答えきったラビはにっこりと微笑む。



「……ふん…」


アリスは左腕を上にして右へ横向きになり、真っ白な肌のうなじをラビに見せた。









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