ブラッディ アリス
「……ナナリは…私の寝室がある廊下の、一番奥の大きな扉の部屋……ドアノブに鍵を引っ掛けてあるわ…。…出してあげて…」
「……かしこまりました…」
ラビはただ返事だけをすると、ゆっくりと立ち上がり、扉へと向かった。
「私は休むわね…。ランチになったら呼んでちょうだい…」
「……お部屋に戻られなくてもよろしいのですか?」
ドアノブに手をかける寸前で、ラビは振り返る。
「…いい……。あ、服…なんでも良いから持ってきてくれる?…あと下着…靴も…。…衣裳部屋にあるから…」
「…かしこまりました…。ただ今…お持ちいたします…」
…パタン…
「…はぁ…」
情報が無さ過ぎて、整理が追いつかない…。
アリスは未だ麻酔のきいている左腕を、そっと撫でる。
「……サタン・トロワ……ね……」