ブラッディ アリス
次の瞬間、パサパサッという羽音と共に、一匹の鳥が窓枠にとまった。
「…どんな質問…?」
アリスはぐっとラビの袖を引っ張る。
「……本当に…リナリア様から何も聞いていないのですか…?」
真紅の瞳に写る…細い少女の腕…。
強引に押さえつけてしまえば……そう…必ず自分のものにしてしまえると思えるほど、非力だということが見てわかる。
「……いや……やっぱりいいわ。…聞かないことにする…」
アリスはスッと手を離すと、また右側に体を向けた。
「……よろしいのですか?」
「…聞いたところで、信じられるわけでもないわ…。…あなたが何者なのか…あなたの目的が何なのか……全てが信用できない…けれど……お母様が依頼状を送ったことは事実だもの…。…あなたには執事として仕えてもらう…」
大事な『案内人』であり、『生贄』の兎…。
でもそれだけじゃない……この男を手放しては…野に放してはいけない…。
…そんな気がする…。
アリスは瞼を閉じ、亡き父と母の姿を思い浮かべた。