ブラッディ アリス
一階に降りたアリスは、急いで玄関へと向かう。
カチャカチャ……ガチャッ!
「……やっぱり…」
「おはよ」
扉の前に立っていたのは、予想通り…カイルだった。
普段の陽気な感じとは違う…機嫌が悪いときのカイルだ。
「こんな朝早くに…何?」
「一ヶ月ぶりくらいだよね。ずっと何してた?」
「…ほ…ほとんど家にいたわ。ラビ……執事に仕事を教えてたの…」
「…ふーん…」
カイルは扉とアリスの間をすり抜けて、屋敷の中へと進む。
「何かあった?連絡しなかったから…怒ってるの?」
扉を静かに閉めた後、アリスはカイルの背中を睨みつけた。
「…もしかして…また城に軟禁されてたの?」
「そうだよ。アリスが来てくれて、説得してくれれば…こんな一ヶ月も閉じ込められなかったかもしれない…」
カイルはムスッとした表情でリビングに入り、ソファーにドサッと腰かける。
「……はぁ?…そうなるのは自分のせいでしょ?…どうせまたどこかの貴族の娘を殺したんでしょ?…むしろこの貴族界代表の私が目を瞑ってることに感謝してほしいわ!」
カイルの態度の悪さに腹を立て、声を荒げるアリス…。
「…僕はべつに好きでこんな人間になったわけじゃない!病気なんだ!…どうしたらいいんだ?!…自分ではどうにもできないんだから、アリスにいつもいてほしいんだ!」
カイルは立ち上がり、すごい勢いでアリスに向かっていく。
「あなたのそばにはハインリヒがいるでしょ?!…私はあなたの面倒まで見れない!そんなに暇じゃない!」
…ドンッ…!