ブラッディ アリス
ⅩⅠ
「…静粛に…!」
受刑者の到着を確認した一人の司祭が、処刑台の上に立ち両手を挙げる。
それを見た民衆やマスコミは一瞬で静まり、そこには緊迫する空気が張り詰めた。
「…ここまで、ですわ。私たちの席が用意してあります。行きましょう」
処刑台が目前のところで、キオネが言った。
「…私は一旦、カイル王子と執事のところへ戻りますわ…」
アリスはそう言うと、ゆっくりシャルル夫人の手を離す。
悲しそうな表情で、シャルル夫人はアリスを見つめる。
「……冥界でお母様に会ったら……心配しないで…と、伝えて」
アリスはそう言うと、来た道を戻って行った。