ブラッディ アリス

ⅩⅠ







「…静粛に…!」


受刑者の到着を確認した一人の司祭が、処刑台の上に立ち両手を挙げる。

それを見た民衆やマスコミは一瞬で静まり、そこには緊迫する空気が張り詰めた。




「…ここまで、ですわ。私たちの席が用意してあります。行きましょう」

処刑台が目前のところで、キオネが言った。

「…私は一旦、カイル王子と執事のところへ戻りますわ…」

アリスはそう言うと、ゆっくりシャルル夫人の手を離す。


悲しそうな表情で、シャルル夫人はアリスを見つめる。


「……冥界でお母様に会ったら……心配しないで…と、伝えて」

アリスはそう言うと、来た道を戻って行った。





< 66 / 657 >

この作品をシェア

pagetop