愛しすぎて。短編集
キスをしようと亜由紗の頬に手を伸ばす。
―――ん
ちょっと待てよ…
「んで…あの男は誰なんだよ」
忘れてた。
あいつの存在―――
「あっ、塾の同じクラスの人で…この間尚輝に見られてた時に好きだって言われて……。」
また怒りが沸々と甦る。
「…で」
「でって…それからは気にしないようにしてるよ。向こうも何も言ってこないし。」
「彼氏がいるから無理って言った」
「あ――…ううん。」
「何で」
「言うタイミング逃しちゃって…その時言えなくて次の日言おうとしたんだけど、向こうがいつも通りだったから…」
何だそれ。
言い訳だろ
結局好かれていたいんだ。
俺以外の奴にも…。