キューピットは求人誌!?


事の始まりは私が中学三年生のとき。


大好きだった母が他界した。


私は悲しくて、悲しくて気がおかしくなりそうな程、泣いた。

けれどそれは父も同じだったようで、夜な夜な飲み歩いては仕事を休み、挙げ句の果てにはパチンコや競馬に手を出した。

お陰で母がせっせと働いて貯めてくれた貯金は減り、家は荒れ果てた。


それどころか、母の貯金だけでは飽きたらず、母の保険金までも手につけたのだ。


私はそれが許せなくて父に言った。


『お母さんはもう戻って来ないの。
ちゃんと前向いて歩いてよ!お母さんもきっとそれを望んでると思う』


悲願を込めた言葉は、父の嘲笑と冷めた声音によって掻き消されることとなった。


『あいつの望みだと?
馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ。
あいつは俺に好きに使う為の金を残してくれたんだ。それをどう使おうか俺の勝手だろう?』


煙草を加えて、真っ直ぐに私を見て話す父の姿は、今まで母を心から愛していた父の姿とは思えなかった。


瞳は冷たい光を孕んでいて、声音は暗く、重い。


そこに、私の大好きな父の姿はもう無かった。






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