恋の相手は俺様王子!?

陸君が来るようになってから、家の中が賑やかになって。

彼の笑顔も増えたと思う。


甘やかすわけにはいかないからと、かなり厳しくしているみたいだけど、


何だかんだ言っても、彼も嬉しいんだって分かった。



陸君の絵を目立つ場所に飾っていると、静かになったと思って振り返る。


ちょっとのズレが気にくわなくて、夢中になって飾っている間に。


「あれ、寝ちゃったの?」


ソファーに横たわっている陸君と、そんな陸君に膝掛けをかけている彼がいた。


サラッと陸君の髪を撫であげる彼の表情は、パパのもの。


「昨日その絵を描いてて、寝るのが遅くなってな。 だから、今度にしろって言ったんだ」


やや呆れ気味。


「ま、そのうち起きるから。 そしたら、またうるせぇぞ」

「パパがずっと一緒にいてくれるから、嬉しいんだよ」


彼の後ろから、陸君の寝顔を見ながら思う。


「あたしのパパも仕事が忙しくてね、なかなか休みがなくって。 たまに遊んでもらえる時は、めちゃくちゃはしゃぎまくってた。 疲れるの忘れて、パパ!パパ!ってさ」


きっと陸君も、あの頃のあたしと同じ。

いやそれ以上の喜びかもしれない。

だって、あたしにはママがいたけど、陸君はどちらとも離れて暮らしてるんだもんね。


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