オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「家族にも等しい可愛がってたペットを殺された人たちの嘆きを見るのはつらかったのう。

わしも当然に気をつけておったが、タロウも賢い犬だったから。
拾い食いなんて真似はしなかったもんよ」


「え……それじゃなんで?」


あたしもなんだか他人ごとに思えなくなって、思わず夢中で聴いてた。


「警察の動きに気がついたんじゃろ。
犯人はまた手口を変えたんじゃ。

今度は……毒を犬や猫に直に注射しよったんじゃ!

そのために、この近所で飼ってたペットはすべて殺された……最後の犠牲はわしのタロウだったんじゃ……」


そこまで言うと、静江おばあちゃんは子ども部屋から一度出た後、また戻ってきたときに青い包みを手にしていた。


「タロウは本当に賢い犬でのう……最後の最期までわしにいろんなものをくれた。
その最後の証がこれじゃよ」


静江おばあちゃんが青い包みを開くと、かなり古びた注射器が出てきた。
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