オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】



馴れたリスにミクという名前をつけて、よく遊びに行ってた。

体にしま模様はなく、夏は赤褐色で冬は灰褐色の体毛を纏う体も大きかったから、たぶんニホンリスだったと思う。


そこにいると人間社会の煩わしさから全て解放されて、何もかも自由になれる気がして。


あたしはミクとよくお喋りしたし、ミクはあたしの肩や手に乗るほど懐いてくれて。


あたしは保育園時代、ミクが唯一の友達だった。


静江おばあちゃんがいなくて泣いているとき。


ミクがよくあたしの肩に乗り、小さな手でほっぺたに触ってくれた感触は今でも忘れられない。


ミクはあたしがあげたドングリを落ち葉の下に隠すクセがあったんだ。


あたしが年長組になったとき、ミクはお腹が大きくなってたから。


あたしは子リスを見られる日を楽しみに、毎日毎日指折り数えて頻繁にミクに会いに行った。


だけど……


林は、壊された。


アパートを建てるために。


ミクは、子リスは、トカゲや鳥や、虫や池の魚たちの住む家は。


全てコンクリートの下に埋められた。


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