オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
インターバル2




3月――。

長かった冬の寒気も緩み、若草が出て虫や生物が躍動し始める季節。

土筆も土手に顔を出し、早咲きの花は色とりどりに緑に彩りを添える。

風も穏やかに肌を撫で、日の光も確実に暖かくなる。




あたしとチカとユリとマリリンは、ケンの日向家の前にいた。


ケンたちの日向一家は持ち家を売り払い、残った借金は預金全部と親戚から借りたお金で1億円の借金を全て返済した。

その代わりに仕事がしやすくなるからと、前々から出版社に誘われていた東京へ引っ越す事になったんだよね。

ケンを可愛がってたおじさん夫婦は近いから、ケンだけでも住まわせてあげると何度も申し出たけど。

ケンはやっぱり家族とは離れたくないし、自分が居なくなったら家はめちゃくちゃだからと両親に着いていく決断をした。

ケンはもちろんチカに一番に話した。

やっぱりチカは泣いて別れたくないと言ったけど、一晩一緒にいて分かり合えたみたいだった。


今は落ち着いて、涙を懸命に堪えてる。


ケンは4月から東京の学校へ通う。


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