オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「ケン、東京で頑張ってね。
チカも頑張って勉強する。
勉強して東京の大学に入るから。
だから、待っててね」
チカがそう言うと、ケンは彼女の肩を抱き寄せて額に口づけた。
「ああ、約束する。
俺も東京の大学……チカと同じ大学に入るよ。
チカこそ俺を忘れるなよ」
「ケンこそ浮気すんなよ~」
ユリが茶々を入れる。
「ばぁか!チカ以上に可愛い娘なんているかよ!」
やっぱり最後までケンはノロケてくれて。
「あ~~あ、3月なのに急に暑くない?」
あたしがわざとらしく襟元をばたつかせると、ケンはコツンとあたしを軽く小突く。
ケンと友達になれた十年……
いろんな思い出があたしの中で浮かんでは消えてゆく。
「ほら、カノジョよりキャンが泣いちゃカッコ悪いよ。笑って見送らなきゃ」
マリリンに背を叩かれて、あたしは涙を手のひらで拭って笑顔を作った。
「日向さん、そろそろ出発しますよ~」
あたしたちはトラックの窓から手を振るケンを笑顔で見送った。