オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
時々忘れられたように置かれた人家が見えて、また緑色のじゅうたんみたいな草原や木立が視界いっぱいに広がった。
カタタン、カタタン、と単調な音と振動は何だか懐かしくて心地いい。
こうして電車を乗り継いで旅するなんて、何年ぶりだろう。
追いかけてもいつまでも追いつけない白い雲。
あっという間に消え去る、どこかで見たような夢の景色。
遠くに見えるぼんやりと淡い山稜は、まだ白く残雪を頂いて。
春霞みたいなぼんやりとした青空は、緑が生き生きしてるからそうなるんだって聴いた。
その外の景色を観たあたしはすっかり夢中になって、体を乗り出すと博君よりはしゃいだ声を上げた。
「うわ~~!黄色い花が一面に……太陽が降りてきたみたい」
まばゆい黄金色の花畑に、あたしは眩しくて目を細めた。
「このあたりはひまわりが一足先に咲く事で有名なんですよ。
余裕があったらぜひ寄ってみませんか?」
涼花さんがそう教えてくれたから、あたしも博君もはしゃいでぜひ!と2人で返事しちゃった。